» 研究概要
はじめに
previous page
鉱物の結晶構造解析
鉱物の組織や化学組成には,鉱物が生成したときの環境(温度や圧力)に関する情報が記録されています.これらの履歴を物理化学的な手法を用いて精密に解析することは,地球表面や内部で生じている諸現象を理解することに繋がります.温度や圧力を変化させると,鉱物の結晶構造は変化し,物理化学的な性質が変化します. こうした条件変化に伴う構造の変化を調べることは,鉱物の性格を調べることに対応します.地球上に存在する各種鉱物についての原子レベルで生じるミクロな変化を明らかにすることにより,地球深部や地球外の惑星がどのような鉱物で作られているのかに関してやそのような特殊な環境において生じているマクロな諸現象を解明することが可能になります.
鉱物は,一般に化学組成と結晶構造により分類されており,現在約4000種の鉱物が地球上で発見されています.鉱物の結晶構造は,X線四軸自動回折計などの装置を用いることにより解析することができます.私たちの研究分野では,温度や圧力を変化させたときに生じる結晶構造の変化を単結晶X線法とダイアモンドアンビルセルとを組み合わせて詳細に精査することにより,特殊条件下における鉱物の物理的性質の変化に関する研究を行っています. 私たちのグループが手法として用いている高圧下その場単結晶X線法による結晶構造の解析に関しては,世界的にも取り組んでいる研究室は少なく特徴的な研究手法のひとつです.
next page
高圧下における結晶構造解析
鉱物学分野に興味をもたれた学部3年生の皆さんへ
鉱物学分野では,様々な企業へ卒業生が就職していますが,物質のキャラクタリゼーションを行う基礎研究分野であるため,メーカー系の企業へ就職する学生が多いことが特徴の一つとして挙げられます.