生命の起源-地球か宇宙か-

 
 

   

    生命を誕生させるためには、まず多量の有機分子を初期地球上に用意し、組み立ててゆく必要がある。有機分子の中で最も重要なものがアミノ酸であろう。無機的な世界だった地球に、どのようにアミノ酸を登場させるかという問題に関して、研究者の間では大きく意見が異なる。地球上で有機分子を作る「地球説」と、宇宙空間で生成されたアミノ酸を地球に運び生命の起源に結びつけるパンスペルミア説(地球外説)とが代表的な考えである。


「地球説」のもとを作ったのはロシアの科学者オパーリンであったと言っても過言ではない。オパーリンは、初期地球の大気中の成分が、有機分子になり、それが海洋に蓄えられ、やがて濃厚なスープを作ったと考えた。この濃厚なスープの中の有機分子は、やがて重合し細胞内に隔離されて最初の生命になったとする考えである。有名な「ミラーの実験」は、この考えに従った実験である。「ミラーの実験」では「初期地球大気にCH4やNH3が含まれ」それが有機分子の炭素源、窒素源となることを想定し、雷放電実験を行った。しかし、1980年代の研究により「CH4やNH3に富んだ大気」は初期地球大気としては考えにくいことが分かった。「マグマオーシャン」の研究が進んだためである。その結果、「ミラーの実験」を初期地球に適用できるか懐疑的意見を生んだ。


その代わりに登場したのが海底熱水説である。現在の海底には海底温泉が存在し、海底熱水活動と呼ばれる。ここでは、岩石中の「鉄」と火山ガスや熱水が反応している。初期地球の海底で、こうした「鉄」との反応で、有機分子が生成されるとする説が提唱された。そこで生成された有機分子がやがて最初の生命に発達したとするのが海底熱水説である。この場合の炭素源や窒素源はCO2とN2となる。地球説の中の一つと言える。




その一方で、 欧米の研究者の多くは、地球説よりむしろパンスペルミア説を受け入れている。ある種の隕石の中にアミノ酸が含まれていることが知られている。このことは、宇宙空間にはアミノ酸が多いことを意味している。 わざわざ地球で有機分子を作らなくても良いではないかというのがパンスペルミア説の主軸である。火星で最初の生命は誕生し、その後、隕石に乗って地球にやってきたとする極端なパンスペルミア説も存在する。