本研究では、
（１）内核を構成する物質の解明
（２）内核の成長にともなう地球核の分化作用の解明
（３）外核を構成する金属液体の物性の解明
（４）外核とマントルの反応様式の解明
を目標にしている。

具体的には、
１）地球核条件での鉄・ニッケル合金、鉄・軽元素系（Fe-O, Fe-S, Fe-Si, Fe-H₂O系など）の高温・高圧条件での状態方程式を決定し、核の構成物質を明らかにする。また、核構成物質の応力場での選択配向性を明らかにし、内核の地震波速度の異方性と比較する。
２）熱源となる元素が鉄と合金を形成する可能性を実験的に明らかにし、核の放射性熱源の有無を検証する。
３)１0 GPa以上の条件で金属鉄、金属鉄・軽元素系のメルトの密度および粘性係数を測定し、核条件に外挿することによって外核の条件での鉄・軽元素系融体の密度と粘性を推定し、外核に含まれる軽元素量を推定する。
４）金属鉄と最下部マントルのケイ酸塩の反応、金属鉄への酸素や珪素の固溶量を明らかにする。上記１）３）の実験には、SP-8およびPFの放射光を用いる。